楽器に限らず、~道だの~業、~学と名のつくものの上達に近道などはありません。これは断言しても良いと思うし、これだけは誰もがうなずいてくれると思っています。まあ他の学問などにあまり一生懸命になったことがない自分としては、他の修行関係にとやかく言う資格なんか無いんですが・・・。
けれど、音楽に関してはある、と思っています。(あくまで「音楽」です。「楽器」ではありません)それは、「ノリ」を鍛えること。音楽ってたくさんの要素が集まって初めて一曲の曲が出来上がりますよね。ハーモニーであったり音階であったり、作曲者の発想であったり、演奏者の技術であったり・・・。でもそれら数々の要素を一枚一枚はがしていった後に残るものが「ノリ」と言われる抽象的なものなのではないかと思います。
日本語では「ノリ」、他の国々の言語でもたくさんの方法で言語化されている、少々不可解で厄介な存在。これは「リズム」とは別物です。「リズム」とはある一定の時間軸に沿った回転によって生み出されるループのこと。この場合の「ノリ」とは一定のテンポ感を持たない音楽も含みます。
国によってもジャンルによっても、1曲1曲全てにおいて異なった「ノリ」。いや、むしろ「ノリ」が違うからジャンルという発想が生まれるのでしょう。
音楽には、というより、曲それぞれには大きな円で描いた正解があります。それぞれの曲にふさわしいノリ方があります。100曲あれば100通りのノリがある。それの最大公約数をまた大きな円でくくったものがジャンルということになるのだろうと思います。サルサにはサルサの、レゲエにはレゲエの・・・。
では果たして「ノリ」は鍛えることが可能なのか?
結局、非常に限定された範囲であれば可能、ということになるでしょう。自分が今、挑もうとしているその曲、どこの国の、誰が、どのような発想で書いたものか?どのジャンルに属し、どのような楽器を使用するのか?またはどのような歌唱法が必要なのか?それらによって「ノリ」を精査する必要が出てきます。
結論としては、近道は無い。と、いうことか・・・?
でも「ノリ」が無ければ音楽そのものが生まれてきません。その一番根底の部分をまっ先に押さえておくことは、やはり一番の近道ではないかと思います。